古本屋・忘れな草
「瞬さん!」
「お疲れ様、紗里奈さん」

 瞬さんは里菜の前にオレンジジュースを置いた。

「パフェ、もうちょっと待ってね」

 瞬さんはこのカフェに本業の会社員と並行して勤めている。
 セットされた瞬さんの髪型は、最近ようやく見慣れてきた。

「はーい!ねえ瞬さん、この彼氏どうしたら良いと思います?」
「うーん……。浮気性は治らないって言うし、別れるしかないんじゃないかなあ」

 「えぇー。でもぉ」と口を尖らせる真紀の前にドンッと大きなパフェが置かれた。

「スペシャルパフェ、お待ち!いちごちょっと多めだよー」

 店長が軽快にそう言うと、真紀は目を輝かせた。

「いただきまーす!……んー!癒される~」

 真紀は先ほどのふくれっ面など無かったかのように笑顔を見せた。

「それは良かった。ああ、紗里奈ちゃん瞬くん、届いた食材の荷解き頼んでいいかい?」
「はい!」
「分かりました」

 そう言って私と瞬さんは店の奥にある倉庫へ向かった。
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