古本屋・忘れな草
「ありがとうございました。冬月さん」

 帰り支度をして扉の前で会釈する。

「いいや。傷が癒えたなら何より。ほら、みぞれも止んだみたいだし、今の内に帰りな」

 冬月さんは片手を挙げて振った。

「……はい」

 『古本屋・忘れな草』を出て、振り返るとその姿はもう無かった。
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