彩〜鮮やかな彩り〜

母さんは、日に日に弱っていった。

亡くなる前日のこと、ある女の人が病室を尋ねてきた。

そして、二人は親しげに話していた。

どうやら昔からの友達らしい。

そして、母さんはいきなり泣きながらその女の人の手を掴んでこう言った。

「お願い、爽をどうか私の代わりに育ててくれない?

あの子はまだ、中学生だから一人じゃ生きていけない。

どうかお願い、、、」

そう言って泣きながら頼んでいた。

僕はそんな母さんの姿をみて涙が出てきた。

嗚呼、母さんは死んじゃうんだな、僕のために必死にお願いをしているんだなと思うと何も言えなかった。

そして、その次の日の朝静かに息を引き取った。


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