元ホストは一途に愛する
大好きなおトミさんのお願いが断れなかった私が今は憎い。
斉木さんが間違って私を気に入ったりしたら、逃げ道なんてない気がした。


「斉木くん、どう?陽菜ちゃんすごくかわいいでしょう?」
「おトミさんから聞いてたよりもずっとかわいいです」


「そうでしょう!」


私の逃げ道を塞ぐようにおトミさんと斉木さんが盛り上がる。
ここで私に斉木さんの感想を求められても、ダメ出しする要素も、このお見合いをお断りする理由も、探しても探しても見つかりそうにはない。


斉木さんのビジュアルから想像するに、完全無欠という言葉が頭を過ぎるほど。
おトミさんとの付き合いがあって斉木さんが話を合わせているわけでもないのなら、私はこのお見合いをどう切り抜けるのが正解なのかがわからない。


そんなときだ。


「とは言っても、会っただけじゃ何もわからないわよね」


おトミさんからいきなり助け舟がきた!
そう思い私は勢いよく「はい!」と答えていた。


「でしょう?だからここからは二人きりで過ごすといいわ」
「え?」
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