鱗好きの公爵令嬢は、幼なじみの無愛想な婚約者よりドラゴンがお好き
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「……つまり、ドラゴンの呪いでそうなってしまったと?」

 ミリアの悲鳴によりウェッジや家令も駆けつけ、場所を移して事情を説明された。

 なんでも、前回の遠征というのがドラゴンの卵を入手するのが目的だったらしい。
 自国にも竜騎士を! という声は以前からあり、何とかドラゴンの卵を入手しようと情報を集めていた。
 そしてついに国内でドラゴンが卵を産んだという情報を得た。
 しかもブラックドラゴンの。

 ドラゴンは火や風などの属性を持つ属性竜というものがメジャーだが、その上位種としてブラックドラゴンとホワイトドラゴンが存在する。
 さらに上位に虹色の鱗を持つというエンシェントドラゴンという古代種がいるらしいが、もはや伝説でしかない。

 そんな実質最強のドラゴンの卵が手に入るチャンスということでリュシアンが派遣されたのだが……。

「ああ。人語を操ったブラックドラゴンは『それほどドラゴンが欲しければお前たちがドラゴンになればよかろう』と言って私に呪いをかけたのだ」
「それで、ドラゴンの姿に……」

 人語を操ったということにも驚くが、滅多に見ることもないブラックドラゴンとホワイトドラゴンについては分からないことが多い。
 属性竜が人の言葉を話すとは聞いたことがないので、やはり上位種であるブラックドラゴンはまた別格ということなのだろう。
 しかも呪いで人をドラゴンに変えるなど、魔術にも卓越していると見える。

「何とか解呪を試みて人の姿に戻れるようにはなったのだが、(いにしえ)の呪いのようで完全に解くことは出来ないらしい」
「そうだったのですか……」

 一通りの説明を聞き、納得したミリアは温かい紅茶をコクリと飲み息をついた。
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