ありふれたフラッシュ
このままでまずいので、とりあえず『ブルーライトを浴びると眠れなくなる』という説を信じ、休み時間にスマホを眺めてみることにした。学校でスマホを見るのは初めてだ。それほど切羽詰まった状況ということである。
とはいっても何を見ていいか分からない。クラスメイトたちはyautubeを観たりTokTokを撮影したりして盛り上がっている。どちらのアプリも入れていないし、特に見たいとも思わない。
自分は何が好きなのだろう。ぼんやりと考えつつ、『目を覚ます方法』と調べる。出てくるのは素人が作った真偽不明のサイト。普段なら見ないのだが、今は藁にも縋る思いでクリックしてみる。
よほど悪質なサイトだったらしく、求めていた情報より先に出てきたのは、アダルト漫画の広告だった。一瞬鼓動が早まって、すぐ消そうとするも、バツボタンが小さすぎて誤って広告のページに飛んでしまう。
そうして画面いっぱいに広がった漫画を見て──美紀は不覚にも惹き付けられた。戻らなければと思いつつも、吸い寄せられるように見入ってしまう。次のページが気になって横にスクロールしてしまう。
それはR指定とはいかないまでも、インモラルな雰囲気を漂わせていた。
教師と生徒、禁断の恋。よくある題材でありながら、この作品は唯一無二の世界観を作り上げている。まるで今の美紀のように、いけないと分かっていながらもみるみる惹かれ合う二人。手を繋いで引き返せないところまで堕ちていく。その先にあるのは幸せか、それとも地獄か。
『先生と一緒なら、地獄も天国も変わらないですよ』
生徒は幸福感に満ちた表情で、先生にキスをする。
重たくしおれた瞼で虚ろにそれを眺めながら、良いな、と美紀は思った。共感でも憧れでもなく、一つの作品、娯楽として。
数多先生の言う通り、確かに息抜きというものは大切だ。新鮮な刺激を得たおかげで、少し眠気が覚めてきた気がする。もっと読めば、もっと覚めるかもしれない。そう言い訳しながら、試し読みできるギリギリまで夢中で読み進めていった。
──背後に来ていた数多の存在にも気付かずに。
とはいっても何を見ていいか分からない。クラスメイトたちはyautubeを観たりTokTokを撮影したりして盛り上がっている。どちらのアプリも入れていないし、特に見たいとも思わない。
自分は何が好きなのだろう。ぼんやりと考えつつ、『目を覚ます方法』と調べる。出てくるのは素人が作った真偽不明のサイト。普段なら見ないのだが、今は藁にも縋る思いでクリックしてみる。
よほど悪質なサイトだったらしく、求めていた情報より先に出てきたのは、アダルト漫画の広告だった。一瞬鼓動が早まって、すぐ消そうとするも、バツボタンが小さすぎて誤って広告のページに飛んでしまう。
そうして画面いっぱいに広がった漫画を見て──美紀は不覚にも惹き付けられた。戻らなければと思いつつも、吸い寄せられるように見入ってしまう。次のページが気になって横にスクロールしてしまう。
それはR指定とはいかないまでも、インモラルな雰囲気を漂わせていた。
教師と生徒、禁断の恋。よくある題材でありながら、この作品は唯一無二の世界観を作り上げている。まるで今の美紀のように、いけないと分かっていながらもみるみる惹かれ合う二人。手を繋いで引き返せないところまで堕ちていく。その先にあるのは幸せか、それとも地獄か。
『先生と一緒なら、地獄も天国も変わらないですよ』
生徒は幸福感に満ちた表情で、先生にキスをする。
重たくしおれた瞼で虚ろにそれを眺めながら、良いな、と美紀は思った。共感でも憧れでもなく、一つの作品、娯楽として。
数多先生の言う通り、確かに息抜きというものは大切だ。新鮮な刺激を得たおかげで、少し眠気が覚めてきた気がする。もっと読めば、もっと覚めるかもしれない。そう言い訳しながら、試し読みできるギリギリまで夢中で読み進めていった。
──背後に来ていた数多の存在にも気付かずに。