ありふれたフラッシュ
 それでも日はあっという間に近付き、とうとう一学期最終日を終えてしまった。さようならの挨拶と共に元気良く廊下を駆け抜けていく皆と反対方向に、重くふらついた足取りで歩く。よりによって今日は日直で、職員室に日誌を届けなければいけないのだ。たったニ階に行くだけでも気が遠くなりそうなほど具合が悪い。
 こんなになるまで頑張ったというのに、先週の期末テストの成績は上がるどころか落ちていた。塾が悪いわけではない、ついていけない自分が悪いのだ。
 今も数多先生に教えてもらっていれば、こんなことにはならなかっただろうか。未だにそんな甘えた考えがよぎってしまう。
 確か夢の中で数多は『甘やかしたい』とか何とか言っていた。それは一体どんな感じだろう。漫画の要領で妄想しかけて、慌てて打ち消す。自分こそ現実とフィクションの区別をつけなければならない。
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