Fixing a Broken Heart
 そんなことを聞いてどうするのかと思うようなことを口にしてしまった。
「ははっ、そうだね。でも、遠くから見てるだけで終わったと思うよ」
 あっさりと、そう言われてしまうあたり、冴木さんから見た私は単なる子供でしかないのだろう。
「冴木さんは、どうして修理屋さんになったの?」
「そうだね……昔から、手先の器用さだけが取り柄だったのもあるけど、直せるものは直して、長く使いたいって思うからかな」
「私だってそう。おば……母がそういう人だからというのもあるけど、使い捨てなんて絶対に出来ないもの」
 恋の相手は使い捨て、家庭さえも使い捨てという人が、とても身近にいた私。
 冴木さんは、少し手を止めて私を見つめると、
「気が合うね。僕も使い捨てるなんてことは、どうしても出来ないタチなんだ」
 やはり、この作業場は、何だかとても居心地がいい。
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