首切りさまと呪いのハロウィン
「行って! クラス全員の命がかかってるんだよ!?」
心春が叫べば叫ぶほど出血はひどくなる。

血は心春の制服の胸元を赤く染め始めていた。
それでも動けない。

ずっと仲の良かった友達をこんなところに置き去りにするなんてできない。

「梨穂。行こう。俺たちが早くしないと心春が本当に死ぬんだぞ」
玲二に腕を引っ張られて泣きそうになった。

行かなきゃいけないことはわかってる。
でも、でも……!

「行って梨穂! 私は大丈――」
心春の言葉が途中で途切れた。

だけど私はそのときすでに玲二と共に走り出していたから、振り返ることはなかったのだった。
< 110 / 118 >

この作品をシェア

pagetop