首切りさまと呪いのハロウィン
「お許しください!」

ふたりで大きな声で叫んだとき、地蔵の首の切断面がジワリと歪んで胴体にくっつくのがわかった。

それと同時に開けられていた目がゆっくりと閉じていき、口元に優しい笑が戻ってくる。

「雨が……」

玲二のつぶやきに空を見上げると、つい1秒前までの豪雨が嘘のように晴れ渡っている。

「呪いが解けた?」
わからない。
だけど目の前にある地蔵はもう怒った顔はしていない。

地蔵の頭から手を離してみてもそれがゴロリと取れることはなかった。
「梨穂、首の線が消えてる!」

「玲二のも!」
互いに首を見せあって、喜び合う。

これでようやく開放されたのだ。
「心春を見に行かなきゃ」
どうか、間に合っていますように……。
< 112 / 118 >

この作品をシェア

pagetop