首切りさまと呪いのハロウィン
「じゃあ、心春は?」
そう聞くと玲二も心春の横に座り込んで、その首筋に触れた。

血を拭き取るようにして指先でなぞっていくと、そこには赤い線はなかったのだ。

「教室で梨穂が首を締められたのと同じで、警告の意味で出血したんだと思う。でもキズはないし、線も消えてる」

玲二の言葉に私は心春の胸に自分の耳を押し当てた。
そこから確かな心音が聞こえてくる。

「本当だ……! 生きてる! 心春は生きてるよ!」
うれしくて思わず玲二に抱きついた。

「これで全部終わったんだ。全部」
玲二が私をきつく抱きしめ返してくる。

空には雨上がりの虹が出てきていた。
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