首切りさまと呪いのハロウィン
それからナイフとスプーンを借りてカボチャをくり抜いていると、ふいに先生が「カボチャランタンのお話を知ってる?」と、いい出した。

見ると片手にスマホを持ってなにか調べているみたいだ。

「あるところにジャックという男がいたんですって。その男は悪魔と契約をして、自分の命を差し出す代わりにお酒を飲むためのお金を要求したの」

なんて浅はかな男なんだろうとその時点で呆れてしまう。
だけど話には続きがあった。

「ジャックは悪魔が宿ったコインを十字架で封じてしまったの。そして『ここから出してほしければ10年間俺の前に現れるな』と、命令したんですって」

「ジャックってすごく悪賢いんだね」
どこからかそんな声が聞こえてきて笑い声が湧いた。

確かにジャックは悪が賢いかもしれないけれど、どうして10年なんだろう?

「そして10年後、悪魔がまたジャックの元に現れました。ジャックは『その木になっている実を食べさせてくれ。そうすればもう心残りはないから』と言いました。悪魔は木に登り、実を取ったのですが、そのときジャックは木に十字架を彫って悪魔を下りられなくしてしまいます」
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