首切りさまと呪いのハロウィン
なんて心優しい悪魔!
物語を聞いている内につい作業の手が止まってしまいそうになる。

「そしてジャックは言いました。『もう二度と俺の魂を取ろうとするな!』すると悪魔はそのまま帰っていきました」

「悪魔っぽくねぇな」
友斗はボソリと呟いて思わず笑ってしまいそうになる。

確かに、この話だと悪魔があまりにも優しすぎて、その優しさにジャックがつけ込んでいるように感じられる。

「そしてジャックが寿命を全うして死んだときです。また、悪魔が現れました。そして言いました『俺はお前の魂を持ってはいけない。
そしてお前は天国に行けるような人間でもない』と。ジャックは暗闇の中、どこへも行くことができなくなってしまったのです。そのとき悪魔が炎をジャックに手渡しました。ジャックは近くにあったカブをランタンにして、暗闇の中をさまよい続けているのでした」

最後まで聞いて背筋がゾクリと寒くなった。

悪魔は死んだ後ジャックの行き場所がなくなってしまうとわかっていて、わざと言いなりになっていたんじゃないだろうか。
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