首切りさまと呪いのハロウィン
最後の炎はこれから先さまよい続けるジャックへの嫌味ともとれる。

真っ暗でなにも見えないから諦めもついて腰を下ろすけれど、弱いながらも光があれば歩み続けてしまうかもしれない。

どこにも行き場なんてないのに。
「カブ? カボチャじゃないんですか?」
そう聞いたのは心春だった。

たしかに、先生の今の話の中でカボチャは1度も出てこなかった。

「最初はカボチャだったけれど、この話しが伝わった地方ではカボチャのほうが多く栽培されていたから、それが主流になって日本に伝わってきたのねきっと」

そうことなら納得だ。
伝承や神話が途中で形を変えることは珍しくない。

七福神の恵比寿さんだって、最初はヒルコという名前だったと言われているし。
それからも作業を進めてそれぞれ個性的な顔のランタンが完成した。

心春のランタンは結構リアルな怖い顔をしているし、友斗のランタンは口が耳のあたりまで避けている。
玲二のランタンはちょっと勇敢な顔立ちだし、私のランタンはタレ目になってしまった。

「これに自分にだけわかるマークをつけておこうぜ」
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