首切りさまと呪いのハロウィン
麻美は真面目な性格をしているから、約束を破るとは思えない。
破るとしてもなにか理由がありそうだ。

「本当なんだって。なんでも涼香の誕生日にケーキを焼いて持っていこうと思ってたらつい夢中になって、気が付いたら約束時間を1時間過ぎてたって」

心春の説明に思わず笑ってしまいそうになり、慌てて両手で自分の口を塞いだ。
なんとも麻美らしい遅刻の仕方だ。

麻美は涼香のためを思って行動して失敗して、涼香はケーキよりも麻美と一緒にいたかったんだろう。
「なんかあのふたりって可愛いね」

このとき私はまだのんきにそんな事を言っていたのだった。
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