首切りさまと呪いのハロウィン
ずっと顔色が悪かった心春も今は頬に赤みがさしている。
そのまま帰らなくて正解だったみたいだ。

「もう遅いから送って帰るよ」
玲二が私へ視線を向けてそう言った。

「え、いいの?」
遅い時間と言ってもいつも学校を出る時間と変わらないし、真っ暗というわけでもない。

だけどこれはふたりきりになれるチャンスだった。

「じゃ、俺は心春を送ってくから、お前ら気をつけて帰れよ」
友斗が当然のようにそう言って心春と共に部屋を出ていってしまった。

こうなると急に相手のことを意識してしまって、ぎこちなくなる。
「俺たちも行こうか」

「う、うん」
私は慌てて頷き、荷物を持って立ち上がったのだった。
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