首切りさまと呪いのハロウィン
私はふたりから少し視線をそらしてそう答えた。
キスしたせいで記憶が上書きされたなんて言えない。

それから4人で学校へと向かったとき、先生たちが慌ただしく階段を駆け上がっていくのが見えた。

「先生が走ってるなんて珍しいな」
玲二がつぶやき先生たちの後を追いかけるように階段を上がる。

2階の廊下には人垣ができていて、それ以上前に進むことができなくなっていた。
「どうしたんだろうね?」

これじゃ教室に入りたくても入れない。

背伸びをして教室の様子を確認しようとしても、沢山の生徒たちの背中や後頭部しか見えなかった。

「梨穂、見ない方がいい」
玲二に言われて「え?」と首をかしげた瞬間だった。

「イヤアアア!」
悲鳴と鳴き声が同時に聞こえてきてビクリと肩を跳ねさせた。

人混みを縫うようにして教室から出てきたのは……涼香だ。
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