首切りさまと呪いのハロウィン
落ちる
翌日1年A組の教室へ入るとそこにはすでに涼香の姿があった。
涼香は教室の中央でぼーっと立ち尽くしている。

その顔には生気が感じられなくて、ひと目見たとき心臓がドキリと跳ねた。
涼香の死体が立っているように見えたからだ。

「大丈夫?」
そっと近づいて声をかけると、涼香が視線だけをこちらへ向けた。

近づいてちゃんと見てみると、首の線が昨日よりも伸びているのがわかる。
顔色はひどくて、土気色をしている。
眠らず、食べてもいないのかもしれない。

夜1人でどんな気持ちで過ごしたんだろうかと考えると、胸が痛くなった。
「涼香、ちょっと座ったほうがいいぞ」

後ろからやってきた玲二がそう声をかけるけれど、涼香はなにも答えなかった。
ただずっとそこに立っているだけだ。

その光景があまりにも異様で、先に登校してきていた生徒たちはみんな涼香から遠ざかっていた。

友達を失って、自分の首にも同じ線が出現した涼香は今、どんな気持ちでいるんだろう。

発狂もせず、泣きもせず、ただただ、棒立ちになっている。
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