首切りさまと呪いのハロウィン
もしかしたら心を殺してしまったのかもしれない。
どれだけ声をかけても返事をしない涼香にあきらめて自分の席へと向かう。

その後次々と生徒たちが登校してきても涼香は少しも動こうとしなかった。
「涼香大丈夫?」

「ねぇ、返事してよ」
仲の良かった数人が声をかけているけれど、それでもやっぱり反応しない。

みんながどうすればいいか考え込んだときだった。
不意に涼香が自分の首に手を当てた。

そのアクションにクラスメート全員が視線を向けた。

なにもせず、なにも答えずに棒立ちになっていた涼香が動いたのだから、注目を浴びるのは当然のことだった。

もしかしたら涼香は自分が注目されるために置物のように立っていたのかもしれない。

「涼香?」
近くにいた友人が声をかける。

だけど涼香はやっぱりなにも答えない。
首に手を当てただけだ。
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