首切りさまと呪いのハロウィン
「それなら俺も地蔵の生首とか持って来ようか」
ふと思い出したように友斗が言った。

「地蔵の生首?」
友斗の隣を歩く玲二が眉を寄せて聞き返した。

「今の心春の言葉で思い出したんだ。俺の親戚に石屋がいるんだ。ちょっとした小道具みたいに作ってもらえるかもしれねぇ」

「でも石から作るなんて時間かかるんだじゃない?」

心春が心配そうに言うと、友斗はニヤリと笑って「石屋って道に面して商品見本みたいに飾ってたりするだろ? それを貸してもらることもできると思う」と、答えた。

それなら時間もかからなさそうだ。
ただ、重さは大丈夫だろうか。
教室まで持ってくるのがさすがに大変そうだ。

内心心配しているとついよそ見してしまい、足元の段差に気が付かなかった。
つま先が段差に引っかかって「キャッ!」と短く悲鳴を上げる。

そのままこけてしまいそうになった所、誰かの両腕に抱きしめられていた。
爽やかな香水の香りに胸のあたりがギュッと締め付けられる。

この匂いは……。
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