首切りさまと呪いのハロウィン
「あぁ。お化け屋敷に使うんだって言ったら、本格的なのを作ってくれたんだ」
友斗は鼻高々で嬉しそうだ。

確かに、これなら文化祭のお化け屋敷で飾ってあったらすごく怖そうだ。
机に黒い布をかぶせてその上に飾れば、パッと見ると地蔵の顔だけが浮かんでいるように見えるだろう。

「だけど予算は大丈夫?」
突然現実的な問題を心春から突きつけられて友斗は面白くなさそうに唇を尖らせた。

「大丈夫。親戚割引がきくからさ」
それならいいんだけれど。

こんなものを本来の値段で作ってもらうとなると、さすがに予算はオーバーしてしまうだろう。
だけど、今一番の心配事は……。

「文化祭の準備は順調に進んでるけど、本当に開催されるのかな」
ふと不安がそのまま口に出てきてしまった。

本当はこんなこと言うつもりじゃなかったけれど、麻美と涼香のことが立て続けに起きてからは、もう文化祭どころではないのではないかと思っていたのだ。

「文化祭は来月だから、大丈夫だろ」
玲二がそう言って私の背中をなでてくれる。
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