首切りさまと呪いのハロウィン
「でも、呪いじゃなくても人形のものに魂がやどりやすいとはいいますよね?」
私はさっきから視線を感じている日本人形へと目を向けて言った。

あの人形のどれかひとつくらいは、夜な夜な動き出していてもおかしくないように見える。

「あぁ、確かに、そういう言い伝えはあるねぇ。人間が大切にするからっていうのも、あるだろうけどねぇ」

祖父がのんびりとした口調で言う。
人の顔をして、人に大切にされたもの。

それは短い時間だったとしてもあのランタンに共通することだった。
それに、ハロウィンには悪霊も戻ってくる。

その悪霊があのランタンに取り付くことだって、あるかもしれない。
そこまで考えて私は左右に首を振った。

ハロウィンまではまだ一月くらいある。
悪霊が戻ってくるには早すぎる。

なにが起こっているか解明しようとしても、わからなさすぎて思考が四方八方へと飛んでいってしまう。

結局ほぼなんの収穫を得ることもなく、私達は心春の祖父母の家を辞去したのだった。
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