首切りさまと呪いのハロウィン
たったそれだけなのに体から火が出るくらい恥ずかしくてうつむいた。
顔もきっと真っ赤だから、玲二を見ることができない。

「や……たぁ!」
途端に大きな声が聞こえてきたかと思うと、私の体は玲二の両腕の中にすっぽりと包み込まれていた。

ぎゅーっとキツク抱きしめられたら、今までの恐怖や不安なんて一気に吹き飛んでしまう。

幸せで幸せで仕方なくて、涙まで出てきてしまう。
私からも玲二の背中に両手を回した、その時だった。
「ふぅん?」

そんな声が聞こえてきてドアの方へ視線を向けると、いつの間に帰ってきていたのか友斗と心春の姿があった。

「あ、えっと、これは、そのっ」

人の家でなにしてるんだと怒られるかと思ったが、ふたりも仲良く手をつないでいて、ニヤニヤしながらこちらを見ている。

玲二も、もうふたりの存在に気が付いているはずなのに私のことを離そうとしない。

私は言い訳することを諦めてただただ玲二に身を委ねていたのだった。
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