首切りさまと呪いのハロウィン
「やぁ、よく来たね」
そう言って笑顔で出迎えてくれた人は「友斗はいないのか?」とすぐに質門してきた。

友斗が死んだことはまだ誰にも伝えていない。
そのままにしてきたことは気になるものの、それで足止めを食らうわけにはいかなあかった。

「はい。今日はいません」
玲二が口ごもりながらなんとか答える。

それから男性は奥の部屋へと連れて行ってくれた。
そこは広い作業部屋になっていて、作りかけの巨大な風神雷神の石像があった。

「すごいですね!」
作品に関心している場合ではないのだけれど、思わず声を漏らしてしまうほど圧巻だった。

「ありがとう。秋に県をあげての芸術祭があることは知っているかい?」
そう聞かれて、そう言えば町中で何度もポスターを見たことを思い出す。

「はい、知っています」
答えたのは玲二だった。
「それに出す予定の作品なんだよ」

だからこれほど大きな力作を手掛けているらしい。
< 93 / 118 >

この作品をシェア

pagetop