首切りさまと呪いのハロウィン
芸術祭には県外からも沢山のお客さんがこの街を訪れるから、いい宣伝になるんだろう。

これに比べれば高校の文化祭なんて小さなもので、友斗の申し出が断られた理由も納得できる。
「じゃあ、友斗はどこからあの地蔵を持ってきたんでしょうか」

「地蔵? あいつ、地蔵を準備したのか?」
玲二の言葉に男性は眉根を寄せる。

「性格には首から上だけです。見せてもらったんですけど、古くて苔むした感じがとてもリアルで……」

「あいつ。とんでもないことをしたんじゃねぇだろうな!?」
玲二が話している途中で男性が大きな声を上げる。
心春がビクリと体を震わせた。

「それって、どういう意味ですか?」
私が質問すると男性は深呼吸をして気持ちの高ぶりを押さえた。

「いや、急に大声出して悪いね。もしかしたらあいつが、どっかから地蔵を盗んだんじゃないかと思ってな。いやぁ……さすがのあのバカでもそんなことはするはずないよな」

ハハッと乾いた笑い声を上げる。
だけど私達3人は笑えなかった。

あの地蔵の頭はどこからか盗んできたものだった?
だとすれば、その話はつい最近聞いたことがある。
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