転生した平凡顔な捨て子が公爵家の姫君?平民のままがいいので逃げてもいいですか

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「マリー終わったよ大丈夫かい?」

「うん、たぶんだいじょぶ」

「そうか具合が悪いなら少し休んでいくといい」

解呪が終わりしばらくすると途端に身体が辛くなる
例えていうなら熱い熱の塊が身体を駆け巡る感じがしてずんと重くなるのだ
魔法省長官であるカイル様には毎回だいぶ迷惑を掛けている
こんなにも長期間解呪に手間取っているのは魔力を吸い取っている首輪の他にもうひとつ魔力が掛けられているため
それはまだ教えられていないけれど厄介なことには違いない

こうして休んで帰るのももう毎度のことで休んでいる間はシスターも席を外し治癒師のお手伝いなんかを乗合馬車の時間が来るまで短時間だがしてるみたい
その日もシスターは治癒師のお手伝いに向かいあたしはベットに横になり寝ていた
だから頭のなかからすっかりロジータちゃんのことが抜けていた
一瞬感じる浮遊感と誰かのぬくもり・・・・・・これは?

「うにゅ・・・・」

思わず変な声がでてしまった、あれ?ロジータちゃんだ

「ま、マリー!?お、起きたんだ」

「どうしたんでしゅか?もう帰る時間でしゅか」

「う、うん少し早いけど馬車はもう来てるから先にマリーは乗っててって言ってた眠いなら寝ててもいいよ」

「うん、そうしゅる」

眠りの誘惑に勝てずに眠ってしまったこの時の自分を呪いたい
今日はやけに馬車に乗る時間が長いな・・・・・揺れが絶妙に気持ちよくてだいぶ眠ってしまった
夕闇がせまる時間帯で頬に当たる暖かい光と誰かが揺さぶる感じがして目を開けた
目の前には見たことのないいかついおじ様
行けない!寝過ごした!ぱっと起きて辺りを見回した

あ、あれ?シスターミラしゃんは?あれ?あれれ

「嬢ちゃんどうした?親は何処だ」

親・・・・?親はいないよ親代わりなのはミラしゃんで・・・・
ミラしゃんは居なくてミラしゃんは居ないんだそう思ったら悲しくて心細くてたまらなくなった
泣いたら行けない!なんとかして孤児院に帰らないと!!

「日が落ちたら変な輩も多くなるし昼間と違って寒くなるぞ」

「ぐすっ・・・・・・うええええええん!!」

駄目だ泣いちゃいけないのに気持ちが引きずられる
どうしようあたし置いてかれたの?

「困ったなどうしたらいいんだよ俺はまだ仕事が残ってるしよ~」

困り果てているおじさんは頭をガシガシ掻きながら悩んでいるよう
そんなあたしたちのやり取りを聞いていたのだろう
傍らから誰かの声が聞こえて来た

「誰かと思ったらボブじゃないかい?どうしたんだね」

ぱっとみると黒いマントをかぶり少し腰の曲がったおばあさんがあたし達に向かって声をかけてくる
あたしの耳には救世主のように聞こえて何故だかおばあさんの瞳をみてほっとしている自分がいた

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