転生した平凡顔な捨て子が公爵家の姫君?平民のままがいいので逃げてもいいですか

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アウラside

「アウラ様ドレスはこちらの青いドレスでよろしいでしょうか?」

「あ~そんな地味なドレスで王太子殿下に会うなんて失礼だと思わない?先日頂いた赤いドレスにして頂戴」

「かしこまりました」

教会側から付けられた自分専用の侍女にそう答えると目の前の大きな姿見に向き直った
鏡に写っているのは流れるような髪に美しいドレスを身に纏って何処から見ても誰が見ても疑うべくのない貴族令嬢が映っていた
あの怪しげな男からもらった腕輪はチェーンで首から下げて肌身離さず身に着けている
自分が聖女になれるなんて本当かしら?なんて思っていたけれど・・・・・

「ふふふふっ・・・・・あはははっうまくいったわ、あ~楽しい楽しいったらないわ」

聖魔法が使えるとわかるとすぐ動いたのは教会だった
何人もの護衛が付き専用の部屋が与えられ侍女も与えられた
そしていよいよ明日は王太子殿下の別荘で殿下と対面その後シュバイツァー公爵家の当主との対面も予定されている

「公爵家の当主との対面はどうでもいいけど一番大事なのは王太子殿下よ!どうしたら殿下の寵愛を得られるかしら」

貴族の令嬢なんて上品で澄ました顔した女しかいないはず・・・・・これは思い切って大胆な出会いにしないと!
目に留まらないわ!でも確か王太子殿下って婚約者がいたはずだけど

「まあいいわ・・・・・婚約者がいても関係ない、ふふふっ」

そして当日王太子殿下の公務の関係で急遽公爵家当主と王太子殿下と同席での対面になった
アウラは殿下と二人きりではないんだな~なんてかなりがっかりしていたのだが仕方ない
自分はやるべきことをやるだけだ!そう思いながらふたりが来るのを待った
王太子殿下の別荘は王都から馬車で一時間ほどのところで湖のほとりのとても自然豊かなところだった
待っている間は当たり前だが自分ひとりで待つわけではない、数人の侍女に沢山の護衛騎士がいる
さあどうしよう・・・・・ただ待っているだけでは殿下の寵愛は得られない
そうだ!まだ時間はあるはず!

「ちょっと席をはずすわね」

「・・・・・は?あ・・・・・アウラ様!?一体どこに?」

「退屈だからちょっとお散歩よ」

アウラは突然歩き出しお屋敷の部屋から出ると庭を歩き出した
もうすぐ来るかしら?玄関のほうでは馬車の音がしたような?気がするけど王族なんだから転移装置使えばもっと早く来れるのに
アウラは知らなかった王太子殿下は無類の馬好きだということを・・・・
彼女は何を思ったのか庭の草花を眺めながら歌を歌いだした
昔母がよく歌ってくれた子守唄をそれも軽くダンスを踊りながら・・・・・本来なら玄関で客人を出迎えなくてはならないのにアウラは気付かない、いや彼女は気付いていてわざとそう行動したのだ

「そなたは・・・・・・」

赤いドレスの美しい娘がくるくる踊りながら歌ってる姿に王太子は心底驚いたと同時に無性に心を惹かれた
こんなにも女性に心を惹かれたのは初めてのことで気が付けば見とれていた一瞬夢の中にいたのかと思うほどだったがそこは王族瞬時に心を入れ替えると目の前の聖女アウラに目を向けた

「これ!無礼であるぞ挨拶も出迎えもないとは!!」

「も・・・・・申し訳ありません!!」

「その歌は?子守唄のようだな」

「は・・・・はい!緊張をほぐすためにう・・・・歌を歌っていました!申し訳ありません」

「アウラ殿無礼だぞ!「よいのだ公爵アウラと言ったか?顔を上げよ」

「は・・・・・はい」

「もう一度聞かせてはくれぬか?」

「えっ・・・・・」

「そなたの歌っていた歌をもう一度聞かせてはくれぬか」

アウラは満面の笑みを浮かべ頷くと歌を歌いだす可愛らしく愛らしく彼が見惚れるように・・・・・
ああ、うまくいったわええそうようまくいったわ!!彼女は確信していた自信に溢れていた
いつしかこの出会いをきっかけに聖女アウラと王太子クリスフォードとの距離はどんどん近づいていく
婚約者との隙間風と不仲が噂され始めたのはこの対面のすぐのことであった
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