転生した平凡顔な捨て子が公爵家の姫君?平民のままがいいので逃げてもいいですか

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アウラside

流れるような金髪に青い瞳意外と背が高くて細身の体形だったけど王子様素敵だったな
あたしは夢の中にいるみたいで少しぽ~っとしていた不敬罪覚悟で出迎えもせず庭で歌いながらダンスをするなんて暴挙に出たけど成功したみたい?感触はばっちりだし大丈夫だと思いたいわ・・・・・
王太子殿下は公務の関係で先に帰って今、目の前に居るのはシュバイツァー公爵家の当主、名前なんだっけ?もう覚えてないわ
さっきから目の前に座ったまま何も言葉を発しないけどどうしたのかしら?

「アウラさんと言ったかな?」

「はい、はじめましてアウラです」

「わたしはシュバイツァー公爵家の当主ロンド・シュバイツァーだ本当は我が家へお招きする予定だったのだがわたしが居てもたってもいられなくてね殿下に無理を言って同行させてもらったんだよ」

「あ・・・・・そうだったんですね」

「それで約束通り聖魔法をみせてもらえないだろうか?」

「は、・・・・はい」

「それでは入ってきてくれないか!!」

当主様がそう言ったかと思うと執事のひとが一人の男性を連れてきた
男性といっても腰の曲がったよぼよぼのおじいちゃん目が見えないようで手で支えてもらっていた

「彼は生まれた時から目が見えないそうだ君の聖魔法で治してもらえないだろうか」

えっ・・・・・この人を?
目の前にいるおじいちゃんは決して身なりは良くないし見た目からして絶対平民だ
でもなんでこんなひと連れて来たのよもしかしてこの人あたしを試してる?
そうだ確か執事の人が言ってたよね奇跡の御業が見たいって・・・・
そういうことか今後公爵家での居場所はこの治療にかかってるってことねこんな貧乏そうなじじいいつもなら絶対治療しないけど
やってやろうじゃないの

「わかりました・・・・・やってみます」

彼を座らせると不安そうな表情だ、あ~近寄ると臭いったらないわ全く冗談じゃないでも養女になるためよここは我慢しないと

「何をするんじゃ?わしの目を治すって言ったが無理にきまっておる」

「大丈夫・・・・・静かに」

多少イライラしながらもおじいさんの目に向かって聖魔法を浴びせた
淡い光はきらきらしてどれくらいの時間が過ぎただろう永遠のような時間が過ぎたかと思った瞬間おじいさんは自然にゆっくり眼を開けていた

「どうですか?おじいさんあたしが見えますか?」

「・・・・・は?み、見える!!見える!!見えるぞ!」

「「「おおおおおおっ」」」

「見えますか?大丈夫ですか?わたしの顔が見えますか」

「ああ見えるよ・・・・ありがとうありがとう聖女様」

いつもよりかなり時間がかかってしまったけどおじいさんは何度もあたしにお礼を言いながら屋敷を後にした
これは気分がいい・・・・・目が見えないひとも見えるようになるなんて聖魔法って凄いのね
心の中で感心していると公爵様があたしに向かって涙を流していた

「あ・・・・・ど、どうしたんですか?」

「い、いやなんでもないよ素晴らしい魔法を見せてもらって年甲斐もなく感激してしまったらしい」

公爵様はそう言いながらうっすら浮かぶ涙を拭っていた
涙を浮かべるなんてどうしたんだろうあたし何かまずいことでもした?
それともマナーが悪かったのかしら?いずれにせよここはどうにかして機嫌をとらないと

「あ、あの・・・・」

「旦那様!旦那様!!」

「お、奥様お待ちください!!奥様!」

バタバタと数人の誰かが走る音と同時に開いたドアの先にいたのは見たところ貴族の御婦人
息を切らして食い入るようにあたしを見つめている美しいモスグリーンのドレスは一見すると地味だが明らかに仕立てが良く生地も高級品だとわかる・・・・・このご婦人もしかして公爵様の奥様?
そう瞬時に判断したあたしはゆっくりと立ち上がった
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