転生した平凡顔な捨て子が公爵家の姫君?平民のままがいいので逃げてもいいですか

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「綺麗ですねえ本当に見事です」

「ふふふっそんなに褒められるとなんだか照れちゃうわ~でもあたしの得意なことってこれしかなくって」

「いえいえ!本当に見事ですよイザベラ様の刺繍がドレスを引き立たせてもう素敵すぎます」

「ありがとうマリーちゃんあなたにはすっかりお世話になっちゃって・・・・・本当に感謝してるわ」

そんなことを言いながら何処か遠くを見つめる彼女はなんだかいつもと違い心ここにあらず
何処か心配そうな表情は息子であるアルフレッド王子を思っているのだろう
彼女の名はイザベラ様、アルフレッド王子の実母であり王宮の外で刺繍の腕を見込まれお針子として皇室御用達のお店で働いている
何故王子の実母でありながら外で生活しているのか?王宮で生活したほうがいいのでは?そんなことを頭の片隅に思ってしまったけど
なんだか彼女の働きぶりを見ていたらわかったような気がした彼女はこの仕事が好きなのだ
窮屈な王宮にいることより外で生活することを選んだのだろうなあ

「このドレスなんとか期日まで出来そうだわこれも看病に来てくれたライラさんとマリーちゃんのおかげよ」

「そんなイザベラ様!あたしなんて何にもしてないですよ功労者はやっぱりアルフレッド君とアウラさんですって」

「そうかもしれないけど熱が下がっても体調が悪かったあたしの為に色々面倒みてくれたのはマリーちゃん達だわ」
目の前にある見事なドレスを見つめながらここ最近のことを言っていた
熱が下がって発疹も収まりなんとか危機を脱したもののまだ体力的に起き上がることが出来なかったアルフレッド王子のお母様
王子から頼まれたこともあり身の回りのお世話をライラさんとしていた、ライラさんは王宮に用事があるらしく今日は不在
あたしだって一応女の子の端くれ綺麗なドレスには心が躍るのだ

「これはシルクという素材で光沢があって素敵でしょ?これはデビュタント用のドレスだけど刺繍があることで華麗な感じがすると思わない?」

「しますします!!真っ白なドレスだけど刺繍があることでなお一層豪華です」

「これでもいいんだけどもうひと手間加えようと思って・・・・」

「ひと手間ですか?」

「そうよ、一生に一度って言うじゃない?貴族の御令嬢にとってデビュタントは大事なものなのよだからマリーちゃんの時もわたしが作ってあげるわ」

「イザベラ様あたしは平民ですよデビュタントなんて縁がないし別世界のことですよ」

「え?マリーちゃんって貴族の御令嬢ではないの?ごめんなさいあたしはてっきり・・・・・」

「孤児院育ちの平民です」

「そうなのね、じゃああたしと同じね?ねえマリーちゃんあたしも噂のアイスクリームってお菓子食べたいんだけどお願いできるかしら」

笑顔で頷く彼女の可愛らしい顔にわたしも思わず笑顔になるこの笑顔を何処かで見たような・・・・?
はて何処でだろう思い出せない母イザベラは魔物討伐に駆り出された我が子に思いを馳せながらそんなことを考えていた
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