【書籍化決定】貧乏令嬢のポジティブすぎる契約結婚〜継母としてもがんばります!〜
使用人たちも前公爵が結婚を認めたこともあり、ディアンヌがどのような人物か観察しているようだ。
可もなく不可もなく……それだけだった。
それにカトリーヌに協力してくれる侍女がいないのが悔しいところだ。
かろうじて役に立ちそうなのは侯爵家から連れてきた使えない侍女、ララだけだった。
アプリコットのおさげ髪と丸眼鏡の地味な女。
学園にいる時から目障りだったが、いい使い道はあるだろう。

もっと決定的なことをしたいのに、侍女長のマリアやピーターの世話をしているエヴァが、さりげなくカトリーヌの邪魔をする。
その間にもディアンヌとピーターの仲は深まっていく。

(どうすればいいの……あの女を引き摺り下ろせるのは、わたくししかいないのに)

貧乏男爵家から荷物が届き、キッチンで料理を始めた時には殴り飛ばしてやろうかと思った。
仮にも公爵夫人でありながら、手料理を振る舞い始めたのだ。
それから人目を憚らずに泣き出したことも……。
何より許せないのはリュドヴィックにその手料理を食べさせたのだ。

三人で囲むテーブルは笑顔で溢れていた。
しかし、カトリーヌはどうしても許せなかった。
ディアンヌのやること何もかもが気に入らない。
ピーターが来てからリュドヴィックはおかしくなってしまった。

(ああ、リュド様を汚すあの女を今すぐに消さないと……! これはベルトルテ公爵家のためにも必要なことなんだから)

カトリーヌの唇は大きな弧を描いていた。
そしてレアル侯爵家から連れてきた役立たずな地味で気弱な侍女、ララにある命令をするために口を開く。
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