【書籍化決定】貧乏令嬢のポジティブすぎる契約結婚〜継母としてもがんばります!〜
「あの女、邪魔だから消してちょうだい」

「で、ですが……」

「わたくしに逆らうつもりっ!? あんたの家族なんてすぐに潰せるんだから」

「……ッ」

「できるでしょう?」


そう言うとララは唇を噛んで顔を伏せてしまった。
ララの家は没落してしまい、今は平民である。
たまたま学園で使えそうな奴だと目をつけて、没落寸前にレアル侯爵家の侍女にしてあげた。
今はララの稼ぎが家族を支えている。
今だってマリアにバレないように細心の注意を払いながら、公爵家の仕事をすべてララにやらしていた。

(まぁ……こいつの家を潰したのもお父様なんだけどね)

その分、侯爵家は領地を広げることになったのだ。


「そうねぇ……調理場で火傷させたらどう? 貧乏男爵令嬢の顔に傷がつけば、さすがにリュド様だって嫌がるでしょう?」

「…………」

「刃物で肌をギタギタに切り刻んでもいいわよぉ?」


ララの肩は小さくカタカタと震えているように見える。
だけどそんなことは関係ないのだ。

(ディアンヌを消したら、ララも用済みよ……リュド様が手に入ればどうでもいいの)

侍女なんてつまらない仕事はもうたくさん。
カトリーヌは『ベルトルテ公爵夫人』として、返り咲くのだ。


「もしできなかったら……どうなるかわかっているわよねぇ?」

「ひっ……!」


念を押すようにララを脅した。
ララがわずかに頷いたのを確認してから、カトリーヌは自分の部屋へと戻る。

(これでもう大丈夫。リュド様はわたくしのものよ)




(カトリーヌside end)
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