【書籍化決定】貧乏令嬢のポジティブすぎる契約結婚〜継母としてもがんばります!〜

三章

(リュドヴィックside)



(温かい……)

リュドヴィックは眩しさと温かさを感じて目を開く。
状況が把握できずに何度か瞬きを繰り返す。

(まさか、私が人前で眠っていたのか……?)

リュドヴィックは信じられない気分だった。
慌てて体を起こそうとすると隣から「うーん」と、唸るような声が聞こえた。
驚いてしまい、隣を見るとそこには気持ちよさそうに眠っているディアンヌの姿があった。
ストロベリーブラウンの髪と長いまつ毛、健康的な肌色とほんのりとそばかすが見えた。
色素が薄い自分とは違い、ディアンヌは性格含めて元気がよく感情が表に出やすいようだ。

いつも理性的だった自分が勢いだけで結婚に踏み切ったのは、両親への反抗もあったのかもしれない。
後悔はないが、こんな自分がディアンヌとピーターを幸せにするという責任を取れるのか不安は残る。

メルトルテ公爵家で、厳格な環境の中で育てられたリュドヴィックは反抗することなく大人しく従っていた。
両親は家名やプライドを重んじる貴族らしい人だったからだ。
夫婦仲も最悪で一緒にいるところなど、社交界以外で見たことはない。
幼い頃から宰相になるために厳しく躾けられた。
その方が効率がいいし、自分を殺せば安寧が手に入る。
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