【書籍化決定】貧乏令嬢のポジティブすぎる契約結婚〜継母としてもがんばります!〜
両親はピーターをベルトルテ公爵家で引き取ることに反対しなかった。
少なからず後悔があったのかとも思ったが、会いにこないことを見る限り、それもないのだろうか。
リュドヴィックが結婚しない以上、後継ぎができないことを憂いただけかもしれない。
だが、愛を知らないリュドヴィックにピーターの悲しみを癒せるはずがなかったのだ。
一カ月、試行錯誤するもののピーターとうまく心を通わせることができなかった。
ピーターと共に過ごしてわかったことは、自分には手に負えない存在だということだ。
母を亡くして悲しんでいるかと思いきや、いたずらをしてみたり周囲を困らせている。
それにリュドヴィックのそばにいたがるため、仕事が進まずにヤキモキしていた。
ピーターが何をしたいのか理解できないのだ。
ベテランの乳母であるエヴァですらピーターに振り回されてしまう。
ただ、彼が食事をあまりしないことが気になっていた。
食材や作り方を変えても口にしないそうだ。
完全にお手上げ状態だった。
ピーターのことや仕事が重なり、リュドヴィックは限界を迎えようとしていた。
予想外の行動までする彼に、苛立ちを感じて冷たく接してしまう自分に自己嫌悪を感じてしまう。