【書籍化決定】貧乏令嬢のポジティブすぎる契約結婚〜継母としてもがんばります!〜
カトリーヌのその言葉と共に足が退けられた。
彼女に踏まれて乱れた髪の隙間から、目に涙をいっぱいためたピーターの姿が見える。
ピーターは肩を揺らして泣くのを我慢しているようにも見えた。
そしてその後ろにはリュドヴィックの姿がある。

(よかった……! カトリーヌがララのことを言っていたことが聞こえたはず。これでララが救われるわ)

かなりの長い時間、リュドヴィックたちは扉の外でカトリーヌが話していたことを聞いていたはずだ。


「──お前が真犯人だっ!」

「なっ……!?」 


ピーターがカトリーヌを指差しながらそう叫ぶ。
それにはカトリーヌも意味がわからずに戸惑っている。


「リュド、早く捕まえよう! カトリーヌが犯人だったんだ」

「……な、なにを!」


カトリーヌの驚く声が上から聞こえた。
ピーターがディアンヌを踏んでいたカトリーヌの足に掴みかかる。
それには足を退かし忘れたカトリーヌも動揺しているようだ。
何故ここにピーターがいるのかわからないからだろう。


「……っ、ディアンヌをこれ以上傷つけるな!」


ディアンヌがピーターの言葉に感動しつつ、起き上がるタイミングを窺っていた時だった。
コツコツと音を立てて、真っ黒なブーツがこちらに近づいているのが見えた。
それと同時にカトリーヌの声色が変わる。

< 159 / 231 >

この作品をシェア

pagetop