【書籍化決定】貧乏令嬢のポジティブすぎる契約結婚〜継母としてもがんばります!〜
「ララがこの事態を引き起こしたこと、わたくしは責任を感じないわけではありませんが……これは彼女が勝手に引き起こしたことですわ」
「…………」
「わたくしにはどうしようもなかったのです……! 申し訳ありませんっ」
カトリーヌは自分に責任がないことを訴えかけている。
リュドヴィックにアピールすることしか考えていないのだろう。
だがディアンヌやピーター、ララはリュドヴィックを見て固まっていた。
こちらから見えるリュドヴィックの表情があまりにも恐ろしかったからだ。
カトリーヌを見る視線には、軽蔑や嫌悪がありありと見てとれる。
(リュドヴィック様……怖すぎるわ)
ピーターもカクカクと震えているが、全身が果汁で汚れているため抱きしめることもできない。
リュドヴィックはカトリーヌを振り払うように腕を引く。
それにはカトリーヌも驚いているようだ。
その後に彼女を無視してディアンヌの元へ向かう。
「ディアンヌ、大丈夫か?」
「はい、大丈夫です」
リュドヴィックはディアンヌに手を伸ばす。
彼の手が汚れてしまうからと首を横に振るが、関係ないとばかりにディアンヌに触れて体を起こす。
今、ディアンヌは髪もボサボサで、口元や全身も真っ赤な果汁に濡れてひどい有様だった。
リュドヴィックはディアンヌの顔にかかった前髪を丁寧に指で払う。