【書籍化決定】貧乏令嬢のポジティブすぎる契約結婚〜継母としてもがんばります!〜
ピーターはディアンヌの服をギュッと握っている。
これから起こることをピーターに聞かせたくはなかった。

(それにピーターに何かあったら嫌だもの)

ディアンヌはピーターにあることを耳打ちする。


「ピーター、真犯人が見つかったから、マリアと一緒にエヴァにもあなたの活躍を教えてあげて」

「わかった!」


ピーターは元気よく返事をすると、「早くエヴァのところに行こう」と、マリアの手を引いて部屋の外に向かう。
ディアンヌはチラリとカトリーヌを見る。


「なんで……? どうしてよっ」


爪を噛みながら呟くカトリーヌはかなり焦っているように見える。
自分の計画通りにいったと思いきや、一転して最悪な結末を迎えつつある。
リュドヴィックはディアンヌを守るように立っている。
今はそのことが心底気に入らないといった様子だ。
リュドヴィックの大きな背を見ていると、低い声が耳に届く。


「このことはレアル侯爵に報告させてもらう。今すぐにベルトルテ公爵邸から出て行ってくれ」

「なっ……! わっ、わたくしは何もしておりません! 悪いのはララですわ」

「すべて聞いていた」

「…………え?」

「扉の外で、君たちの会話をすべて聞いていたと言っている」
< 163 / 231 >

この作品をシェア

pagetop