【書籍化決定】貧乏令嬢のポジティブすぎる契約結婚〜継母としてもがんばります!〜
リュドヴィックの有無を言わせない態度に、カトリーヌは唖然としている。
そして先ほどディアンヌやララへ言った言葉を思い出しているのだろうか。
瞳は左右に揺れて、動揺しているように見える。


「カトリーヌ・レアル……以前からマリアから話は聞いていた。ララにすべてを押しつけていたそうだな」

「ぁ……」

「それからディアンヌをこのような形で傷つけようとした。私は君を許すつもりはない」

「……ち、ちがう! 違うんですっ」


ディアンヌはリュドヴィックが自分のために怒ってくれたことが嬉しかった。
カトリーヌはその場にペタリと座り込んでいる。
俯いていて表情は窺えないが、ある言葉がディアンヌの耳に届く。


「わたくしを……騙したのね?」


そしてカトリーヌは少し離れた場所にあるナイフを手に取った。


「──お前のような貧乏令嬢は、リュド様の隣に相応しくないのよっ!」


カトリーヌがナイフを振り上げようとした瞬間だった。
リュドヴィックは凄まじい速さでナイフを蹴り上げる。
カンッという音と共にナイフは遠くに飛んでいってしまう。
カトリーヌはナイフを持っていた手が痺れているのか、手首を押さえていた。
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