貧乏令嬢のポジティブすぎる契約結婚〜継母としてもがんばります!〜
どんな理由があろうともディアンヌが『公爵夫人』になる事実は覆せない。
それは今まで馬鹿にしてきたディアンヌが伯爵令嬢のシャーリーの上になるということだ。

(そんなの……ありえないわよね?)

婚約者のジェルマンもシャーリーに「おい……このままじゃやばいんじゃないか?」と、焦っているように見える。
シャーリーも内心、焦りを感じていた。
ディアンヌにしたことがバレたら、さすがに父に怒られてしまう。

(あの子のことだから何も言わないわよ……! そうに決まってる。何の知識も度胸もないもの)

シャーリーの思った通り、ディアンヌは何も言わなかったようだ。
そのことに安心したのも束の間、ベルトルテ公爵から箱と手紙が届いた。
それには父と母も驚いているのと同時に、困惑しているようだった。

中身を確認すると、そこには紫色のドレスとハイヒールが入っていた。
それもかなりの高級品だとすぐに見て取れる。
何故、ベルトルテ公爵がドレスを送ってきたのか……その理由は添えられたメモに書かれていた。
そこにはディアンヌの借りたドレスのことやハイヒールで怪我をしたため、新しいものを送ると書かれていた。
『シャーリー嬢に私の妻、ディアンヌが世話になった。以前、借りたものを返そう。反省があるのならディアンヌに近づかないでくれ』
それはシャーリーにとっても、カシス伯爵家にとってもいい意味ではないことだけは確かだった。
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