貧乏令嬢のポジティブすぎる契約結婚〜継母としてもがんばります!〜
ディアンヌはそう叫びながら勢いよく体を起こす。
アンとしての記憶を思い出した反動なのか、頭がズキズキと痛んだ。
男性の医師がディアンヌに気づいたのか心配そうに顔を出す。
どうやら頭をぶつけて意識を失ったディアンヌは医務室まで運ばれたようだ。
ディアンヌは濃い紫色の裾が長くタイトなドレスを引き上げながら起き上がる。

(急がないと……! パーティーが終わってしまうわ)

追い詰められた状況ではあるが、どんな時も粘り強く乗り越えてきた。
諦めるにはまだ早い。

ディアンヌは医師に大丈夫だと断りを入れてお礼を言ってから、身なりを直すために鏡を探す。
壁にかけられている鏡を見つけて、ハイヒールを履いた足を進めていく。
思い出すのはシャーリーの心ない態度だ。

(こんな歩きにくい靴や似合わないドレスを貸すなんて嫌がらせよ……!)

アンとの記憶が混ざったからわかるが、シャーリーは明らかに悪意を持ってディアンヌを馬鹿にしていた。

(ディアンヌはいい子すぎたのよ。シャーリーはずっとディアンヌのことを下に見ていたわ!)
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