【書籍化決定】貧乏令嬢のポジティブすぎる契約結婚〜継母としてもがんばります!〜
ディアンヌ・メリーティーはロウイナリー王国の貴族、メリーティー男爵家に生まれた。
ディアンヌが生まれる前、父はたまたま爵位をもらって『男爵』となる。
そこで育てた果物を当時の第一王子が大層気に入ったことで、爵位を与えられた。
王都でも一時期流行り、貴族たちもメリーティー男爵領で育てた果物を求めた。
メリーティー男爵領は、その果物を育てるために与えられた小さな領地だ。
温暖で自然が豊か。フルーツも育ちやすい気候だった。
しかし王子が大きくなるにつれて味覚が変わったのか、王家に献上することもなくなってしまう。
それと同時に王都からメリーティー男爵領で育てたフルーツの取り扱いが減ってしまった。

最盛期は侍女も雇っていたようだが、ディアンヌが物心つく頃にはみんないなくなってしまう。
自分のことは自分でやる生活が当たり前。
両親も元の生活に戻っただけだと呑気に考えていたらしい。

しかしディアンヌが十六歳となり、ついに社交界デビューという時に悲劇が起きた。
なんと長雨によりフルーツの木が腐り、半分以上壊滅。
追い討ちをかけるようにわずかに実ったフルーツも、すべて盗難されてしまう。
メリーティー男爵家はどん底だった。

家にあるすべてのものを売り払っても損害は拭えずに、一年経つ。
父は「爵位を王家に返上するしかあるまい」と言った。
しかしディアンヌには十二歳になる弟ロランとまだ五歳の三つ子の男の子、ライ、ルイ、レイがいた。
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