貧乏令嬢のポジティブすぎる契約結婚〜継母としてもがんばります!〜
「……っ!?」


傾いた体を支えるようにリュドヴィックの腕が伸びる。
彼の逞しい腕に支えられながら、ディアンヌは動きを止めた。
上目遣いで彼を見つめながら、再び立ち上がる。
申し訳なさから頭を下げて謝罪しようとした時だった。


「リュド、リュド……!」


聞き覚えのある可愛らしい声にディアンヌは顔を上げた。
ふわふわしたホワイトシルバーの髪と、大きく見開かれるライトブルーの瞳。
先ほど、迷子だったピーターの姿がそこにはあった。


「リュド、やっと見つけたっ……!」


ピーターは安心したように微笑むと、リュドヴィックの腹部に突撃するように抱きついた。
その後に慌てた様子でエヴァがやってくる。
どうやらピーターを追いかけていたのか、荒く呼吸を繰り返していた。


「ピーター……エヴァと待っていろと言ったろう?」

「だって寂しかったんだもん。それにリュドに会いたかったから……」


涙目になるピーターにリュドヴィックは重たいため息を吐いた。
しかし、リュドヴィックの氷のような表情にピーターはビクリと肩を震わせて怯えるように身を縮ませてしまう。
ディアンヌは胸が痛くなり、ギュッとリュドヴィックに抱きついているピーターの肩をつつく。
するとピーターは後ろに視線を送る。
ディアンヌに気がついたのだろう。
濡れた目を見開きながら、ディアンヌに抱きついた。
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