貧乏令嬢のポジティブすぎる契約結婚〜継母としてもがんばります!〜

ディアンヌもピーターの小さな体を包み込むように抱きしめる。
弟たちにいつもやるように、ピーターの柔らかいホワイトシルバーの髪を優しく撫でていた。
するとピーターは思わぬことを口にする。


「ボク、ディアンヌと一緒にいたい……!」

「え……?」

「リュド、ディアンヌと結婚してよ! ディアンヌにお母様になってほしいっ」


ピーターの言葉にディアンヌは驚愕していた。

(お母様になってほしいって……わたしが!?)

ディアンヌがリュドヴィックを見ると驚いているのか、大きく目が見開かれている。
もしかしてリュドヴィックがピーターの父親かもしれないと考えていた。
しかし『お父様』や『父上』ではなく、リュドと名前を呼んでいることが気になってしまう。


「……ダメだ」

「どうして!? リュドはそればっかり言って! ボク、さみしいよ」

「エヴァがいるだろう?」

「お母さんがいい! リュドはそばにいてくれないし……うわあぁぁん!」


ピーターはそう言って、大声で泣き出してしまった。
リュドヴィックはそんなピーターを見つめつつ、額を押さえて再びため息を吐いた。
眉間に深々と刻まれているシワ。
ディアンヌの胸元で大号泣するピーター。
ドレスはしっとりと濡れて涙と鼻水ですごいことになっていた。
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