貧乏令嬢のポジティブすぎる契約結婚〜継母としてもがんばります!〜
(シャーリーに返さないといけないのに……安物のドレスだから、もういらないって言われたけど)

ディアンヌは泣き噦るピーターの背を撫でながら考えていた。
リュドヴィックとピーターの事情は詳しくはわからないが、ピーターの様子を見る限り寂しくて仕方ないのだろう。
ディアンヌは少しでもピーターの悲しみが癒えるようにと抱きしめる腕に力を込める。

するとピーターは肩を揺らしながら嗚咽していたが次第に落ち着いていき、寝息をたてて眠ってしまった。
ずっと走り回ってリュドヴィックを探していたのなら、疲れたのだろう。
それに子どもにとっては、もう眠たい時間なのかもしれない。
エヴァが「まぁ……!」と、驚いている。

リュドヴィックが「すまない」と言いつつ、ピーターを引き剥がそうとするが彼はディアンヌのドレスをがっしりと掴んでいてから離れない。
エヴァも「ディアンヌ様と無理矢理離したら、数日は泣いてしまいそうですね」と、困ったように言った。

エヴァに手伝ってもらいながらピーターを抱えながらソファに座る。
困惑していたディアンヌは、リュドヴィックを見る。
彼もどうすればいいかわからないようだ。


「──リュドヴィック、リュド! いるか?」

「……!」

< 35 / 63 >

この作品をシェア

pagetop