貧乏令嬢のポジティブすぎる契約結婚〜継母としてもがんばります!〜
(シャーリーside)


出会った時からディアンヌ・メリーティーが嫌いだった。

シャーリーは比較的裕福な生活をしていた。
自分が幸せだと思い込んでいたけれど、貴族が集まる王立学園へ入学して、その考えが間違っていると気付く。
公爵家と男爵家は、天と地ほどの差があるのだと見せつけられた気がした。
こちらを馬鹿にするような令嬢たちの視線が気に入らない。
しかし、どうすることもできない現実に歯痒い思いを抱えていた。

シャーリーは学園ではいつも自分と同じ男爵家や子爵家の令嬢たちと共にいた。
しかし隣のメリーティー男爵家の長女、ディアンヌはとても穏やかで優しい令嬢だ。
彼女は密かに令息たちからの人気を集めていた。
それに同性の令嬢たちからも好かれていた。
高位貴族とも親しげに接するディアンヌに、シャーリーは影ながら真っ黒な気持ちを抱えていた。
なんとか邪魔をして令息たちをディアンヌから引き離してチャンスを奪ってきたのた。

(どうしてこんな地味で何の取り柄もない子が、みんなに愛されるのよ。どう見てもわたくしの方が美しいし、可愛いのに……っ!)

少しクセのあるストロベリーブラウンの髪に小動物のようにクリっとした薄ピンクの瞳。
いつも笑顔で人を疑うということを知らない。
馬鹿みたいに素直でお人好し。
シャーリーに嫌味を言われても利用されても、笑って許してしまう。
そんなディアンヌと自分は、全然違う存在なのだと言い聞かせていた。
同じ男爵家出身だからと仲良くしていたが、心の中では彼女のことが大嫌いだった。

しかしシャーリーが最終学年になった時、チャンスが巡ってきた。
カシス男爵領にある鉱山から真っ赤な鉱石が発掘できた。
加工してアクセサリーにしたところ、王都で流行り出したのだ。
父の事業が大成功したことで大金が手に入る。
カシス男爵家は成り上がることに成功した。
なんと一気に伯爵家まで上り詰めることができたのだ。
シャーリーの周りには宝石欲しさに令嬢たちが群がってくる。
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