貧乏令嬢のポジティブすぎる契約結婚〜継母としてもがんばります!〜
上から見下ろす景色は最高だった。
もちろんディアンヌたちとも距離を置いた。
自分があの程度のレベルだと思われたくなかったからだ。

(もうアンタたちなんて用済みなのよ……っ!)

ゴミはゴミ同士、目立たない端の方で仲良くしていればいい。
そう思いながら卒業パーティーでは、見せつけるように豪華なドレスとカシス伯爵領の鉱山でとれたアクセサリーをこれでもかと身につけていた。

今まで友達ごっこをしていたディアンヌたちは地味すぎて会場では見つけられなかった。
帰り際で別れることが、悲しいのか泣きながら抱き合う姿を見て、シャーリーはあまりにも馬鹿馬鹿しくて吹き出すように笑ってしまう。

そしてシャーリーはジェルマン・ラバードという最高の婚約者ができた。
侯爵家の三男ではあるが、とにかく顔がいい。
それだけしか取り柄はないが、隣りにいるだけで十分だった。
学園で令嬢たちの中で一番人気の彼をシャーリーは射止めることができたのだ。
シャーリーは最高の気分だった。

しかし上には上がいる。
元男爵令嬢ということもあるが、侯爵家や公爵家の令嬢にはどうしても劣ってしまう。
それがシャーリーには許せない。
父に頼んで豪華なドレスをオーダーして、自分を高めていた。
だが、誰もシャーリーを讃えてはくれない。
群がってくるのはシャーリーと同じ伯爵家かその以下の令嬢たちばかり。

(それじゃ意味ないのよ。わたくしはもっと上にいけるはずよ……!)

そして一年も経たないうちにメリーティー男爵領の噂を聞いた。
男爵を叙勲したきっかけとなる地味な特産物、水害で木がダメになってしまったらしい。

(ああ、可哀想に……! あんなしょぼいフルーツなんて、何の価値もないのよ)
< 47 / 69 >

この作品をシェア

pagetop