貧乏令嬢のポジティブすぎる契約結婚〜継母としてもがんばります!〜
話の深刻さがわからないライとルイとロイの三人は楽しげに部屋の中を走り回っている。
食べ盛りの三人を育てていくためにもお金が必要だ。
憔悴している両親の姿を見ながら、ディアンヌは考えていた。

(……わたしがどうにかしないと!)

王立学園では、さまざまな理由で婚約関係にある人たちを見てきた。
そこには名誉や家を守るために、嫁いでお金を援助してもらう人もいたことを思い出す。

(わたしがもしどこかに嫁げたら、メリーティー男爵家を援助してくれるかもしれないわ!)

しかしディアンヌは自分の身なりを思い出す。
今はストロベリーブラウンの癖のある髪を抑えるために三つ編みをしていた。
薄いピンク色の瞳とほんのりとそばかすがある。
化粧品も買うお金もなく、髪や肌の手入れも満足にできていない。
ディアンヌは他の令嬢たちのように美しくもなく、目立つような容姿ではない。
特にディアンヌと結婚するメリットも、自慢できるような特技もなかった。

ディアンヌの頭によぎる不安。

(でも、こんなわたしを娶ってくださる方なんているのかしら……)
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