貧乏令嬢のポジティブすぎる契約結婚〜継母としてもがんばります!〜
何故かフワリと体が浮く感覚がした。
逞しい腕がディアンヌの体を持ち上げる。
ディアンヌが驚きながら瞼を開けると間近にリュドヴィックの端正な顔立ちが見えて息を止めた。
本日、二度目のお姫様抱っこである。


「無理をさせてしまったようだ。すぐに手当しよう。救急箱を部屋に頼む」

「……わ、わかりましたわ!」

「あの……!」

「足が痛んで動けないのだろう?」


リュドヴィックの言葉にディアンヌは小さく頷いた。
カトリーヌはリュドヴィックの行動にうっとりしていたり、ディアンヌを睨みつけたりと忙しそうだ。


「すぐに医師も手配してくれ」

「か、かしこまりました!」


だんだんと大袈裟になっていく状況に、ディアンヌは慌てたように声を上げる。


「大したことありませんから!」

「傷が悪化したら大変だ。歩けないほど辛いのだろう?」


彼の言う通りだった。
ディアンヌは何も言えずに押し黙る。


「あの……リュドヴィック様」

「それに早く着替えた方がいい」

「……はい」


ディアンヌが露出度の高いドレスを着ていることにより、彼の頬がほんのり赤くなっている。
そのことに気づくことはなく、リュドヴィックの優しさに甘えて体を預けていた。
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