貧乏令嬢のポジティブすぎる契約結婚〜継母としてもがんばります!〜
「あのクソガキに近づいて、リュド様に擦り寄ろうと考えたのね。なんて卑怯なのかしら……リュド様に相応しいのはわたくししかいないの!」

「……!」


クソガキとはピーターのことではないだろうか。
カトリーヌは早口でディアンヌを責め続ける。


「リュドヴィック様なんて、誰が名前を呼ぶことを許可したのよ! あなたみたいな下賎な女がリュド様の名前を呼ばないでちょうだい」

「あの……」

「こんなズル賢いなんて、さすが娼婦ね。なりふり構っていられないということかしら。最低のクズよ! このクズッ!」


当たり前だが、カトリーヌはディアンヌとリュドヴィックの出会いを知らない。
どうやらピーターに近づいて、ディアンヌはリュドヴィックを狙って屋敷に忍び込んでしまったらしい。

(すごい言われようだわ。わたしが一応貴族だなんて夢にも思っていないんでしょうね……)

カトリーヌはディアンヌが言い返す間もなく、唾を吐き散らしながら罵っている。
しかし、ディアンヌはポジティブだった。

(娼婦と言われようと、どう思われても、家族を守るためにがんばらないと……!)

医師が帰ってきたことで、カトリーヌは「心配ですわねぇ」と言いながら笑顔でディアンヌから離れた。
どうやらリュドヴィックや男性の前では可愛らしい姿でいるようだ。
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