【書籍化決定】貧乏令嬢のポジティブすぎる契約結婚〜継母としてもがんばります!〜
医師も親しげにカトリーヌと話している。
「リュドヴィック様にもこのカトリーヌがなんでもお手伝いしますからと、伝えといてください」
目的は医師に好かれてリュドヴィックの好感度を上げることのようだ。

(カトリーヌさんはリュドヴィック様を振り向かせたいのね)

侍女ではあるが、ライトブラウンの髪は艶やかで入念に整えられている。
カトリーヌの外見や態度を見ていると、まるで貴族の令嬢だ。
しかし今はリュドヴィックがディアンヌを気遣っているため何もできないのだろう。

医師の荷物を持ったカトリーヌは「少々お待ちくださいね、ディアンヌ様」と言いつつも、血走った目でこちらを睨みつけて部屋を去っていく。
カトリーヌではない侍女が代わりに入ってきたことで、ディアンヌはホッと息を吐き出した。

(貴族の世界って……大変だわ)

他の侍女たちはディアンヌの体や髪を丁寧に綺麗にしてくれた。
カトリーヌとは違い、ディアンヌに特に敵意はないようだ。
しかし好意もないらしい。

居心地の悪さを感じていると、リュドヴィックが執事と共に部屋に戻ってくる。
ピーターはぐっすりと眠っているそうだ。
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