貧乏令嬢のポジティブすぎる契約結婚〜継母としてもがんばります!〜
しかしカトリーヌはマリアが見ていない隙を狙って、虫を紅茶に浮かべてみたり、ディアンヌに無理やり頬を叩かれたと言って周囲に訴えかけたりしている。
だが、ディアンヌにはまったく効果がなかった。

何故ならカトリーヌにとっては、とてつもなく嫌なことなのだろうが、ディアンヌにとってはまったく大したことがなかったからだ。
メリーティー男爵家には巨大な芋虫だっているし、虫は常にブンブン飛んでいたため普通に払うだけで済む。
それにこの足ではカトリーヌの頬を叩くために踏ん張れないし、彼女は簡単に逃げられてしまう。

嘘がバレたことに顔を真っ赤にしていたカトリーヌ。
それ以降は地味な嫌がらせが続いていた。
なんとかして二人の仲を引き裂きたい……そんな気持ちを感じさせる。
カトリーヌの目は日に日に血走っていくが、ディアンヌは特に気にすることはない。
というよりは、足が治るまで何も抵抗できないからだ。

今はそれとなく気づいていないフリをしながら刺激をしないことを優先していた。
カトリーヌが最初から敵意をむき出しにしてくれたおかげで、彼女を警戒できることが幸いだったかもしれない。

そして六日ほど、ディアンヌは一人で部屋で食事をしていた。
移動するにも人の手を借りなければならずに申し訳ないからだ。
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